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『あの坂を登れば海が見える』を期間工風にアレンジしてみた

こんにちは、オレキカです (@orekika)

最近は、仕事中に『あの坂を登れば海が見える』という詩を思い出します。

少年が坂を登るあれです。

今日は仕事中、あまりに辛かったので

[st-kaiwa1]『あの坂を登れば海が見える』を期間工風にアレンジしてみました。[/st-kaiwa1]

 

つぎの金曜日が終われば、土曜は休める。

期間工は、朝から働いていた。油の臭いがむっとたちこめる工場である。顔も背すじも汗にまみれ、休まず働き息づかいがあらい。

つぎの金曜日が終われば、土曜は休める。

それは、幼いころ、添い寝の祖母から、いつも子守唄のように聞かされたことだった。月曜から金曜日まで働きさえすれば、土日は休めるんだよ、と。

その、月曜から金曜日という言葉を、期間工は正直にそのまま受けとめていたのだが、それはどうやら、しごく大ざっぱな言葉のあやだったらしい。現に、今こうして、金曜日を二つ三つと働いても、まだ土曜は休めていないのだから。

それでも期間工は、呪文のように心に唱えて、働いている。

つぎの金曜日が終われば、土曜は休める。

金曜が終わるまで、あと数時間。半ばかけだすようにして、期間工は土曜日を迎える。しかし、見下ろす行く手は、またも波のように、働いて働いて、その先の見えない、長い長い休出だった。

期間工は、がくがくする足をふみしめて、もう一度気力を奮い起こす。

つぎの金曜日が終われば、土曜は休める。

少年は、土曜日、どうしても休みたいのだった。細かく言えばきりもないが、やりたくてやれないことの数々の用事が積もり積もったとき、期間工は、社員が休出を休むように、まっすぐに土曜を休みたかったのである。自分の意思で、土曜は休もう。金曜一つこえたら、本当に土曜は休みなのかを確かめてこよう、と。

つぎの金曜日が終われば、土曜は休める。

しかし、まだ土曜は休めなかった。はうようにして働いてきたこの仕事の行く手も、やはり今までと同じ、果てしない休出のくり返しだったのである。

もう、やめよう。

急に、ライン横に座りこんで、期間工はうめくようにそう思った。こんなにつらい思いをして、いったいなんの得があるのか。この先、金曜をいくつこえたところで、本当に土曜日に休めるのか、わかったものじゃない。

額ににじみ出る汗をそのままに、箱に座って、通りぬけるスポットクーラーの風にふかれていると、なにもかも、どうでもよくなってくる。じわじわと、疲労が胸につきあげてきた。

10分休憩が終わる。これから働く土曜の長さを思って、重いため息をついたとき、期間工はふと、生きものの声を耳にしたと思った。

声は上から来る。ふりあおぐと、すぐ頭上を、光が走った。眼光の鋭い、真っ黒い作業着を着た人間が、ゆっくりと歩いて、なにやら叫んでいる。

あれは、職長だ!

期間工はとっさに立ち上がった。

職長がいる。終わりが近いのにちがいない。そういえば、マイナスしていた台数は、確かになくなったはずだ。

今度こそ、土曜は休めるのか。

それでも、ややためらって、行く手を見はるかす期間工の目の前を、ちょうのようにひらひらと、白いものが舞い落ちる。てのひらをすぼめて受けとめると、それは、雪のようなひとひらの来月の予定表だった。

あの職長の、おくりものだ。

ただ一枚の紙だけれど、それはたちまち期間工の心に、来月の土曜は休出なしと勇気を与えた。

つぎ金曜日が終われば、土曜は休める。

期間工はもう一度、力をこめてつぶやく。しかし、そうでなくともよかった。今はたとえ、このあと三つの坂、四つの金曜をこえることになろうとも、必ず土曜は休むことができる。休んでみせる。

白い小さな紙をてのひらにしっかりとくるんで、ゆっくりと金曜を働いている期間工の耳に・・・あるいは心の奥にか・・・かすかに追残の放送が聞こえ始めていた。

[st-kaiwa4]追残かよ![/st-kaiwa4]

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